(最終更新日:2022.05.17)

2022年4月東証再編と今後の展望

こんにちは。ファイナンシャルプランナーによる株式投資のお話。

今回は注目の2022年4月4日からスタートする東証(東京証券取引所)再区分について簡単にわかりやすく説明したいと思います。

そして日経225やTOPIX指数、マザーズ指数はどうなっていくのか、その影響や展望なども少しお話したいと思います。

目次

はじめに

2022年4月4日から東京証券取引所による大規模な市場区分が再編が行われ、新区分での取引がスタートします。

東証新市場区分

現在のわかりにくい市場区分、グローバルな視点で海外マネーの流入、そして厳しい上昇基準を設け企業の成長を刺激し企業価値を向上させていこうとする。

このような背景もあり、約60年ぶりに日本のマーケットの市場再区分が始まります。

現在の市場(2022年4月4日まで)

現在の東京証券取引所(以下、東証)には、個人投資が参加出来る市場は大きく分けて5つに区分されています。

基準と実際に上場している企業の数値的な部分は一旦忘れて読み流してください。

東証1部市場

株主数2200人以上、株式2万単位以上流通、時価総額250億円以上と世間的にはトヨタ自動車など世界的にも認知度の高い企業などが上場している市場です。

東証2部市場

株主300人以上、株式2千単位以上、時価総額10億円以上など、1部よりは上場基準がゆるく設定されています。

ジャスダック市場

ジャスダック市場はスタンダード市場とグロース市場にわかれています。その歴史は長く1963年に当時の新興企業向けの市場であったが50年以上も上場している老舗企業もあります。

上場基準は株主数300人以上。上場時時価総額10億円以上などです。

マザーズ市場

東証が1999年に開設したITベンチャーなどの新興企業向けの市場です。ホリエモンのライブドア(ライブドア事件により上場廃止)や、フリマアプリで有名なメルカリなどはマザーズに上場しています。

株主数は200人以上。流通株式2千単位以上、時価総額10億円以上と比較的に小型株が多いです。

以上が東証における市場区分で、利益などによっても上場基準は設定されています。

日本では東証以外にも札幌証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所の4つの証券取引所が開設されています。

2022年4月4日からの東証新市場区分

上場維持基準

創業年数や企業業績など上場要件にそぐわない企業も一度上場すれば有価証券取引法違反など犯さない限りは、最初に選択した市場に残るなど、国内外の投資家から市場区分がわかりにくいという声も上がり始めました。

そしてITの普及でグローバル化が加速する現代で海外の投資マネーをさらに呼び込みたいなどの思惑もありました。

さらに、現在の基準よりも厳しい上場維持基準を設けることで、企業の持続的な成長を促して企業価値を高めたいとする期待をこめて東証の再編にいたりました。

建前的にはこのような内容で再編に向かいましたが、増え続ける日本の上場企業を減らしたい一面もあったと予想されます。

現実、日本の上場企業は1990年の1,752社から2021年には3,822社と倍以上増えています。

対する経済大国アメリカの上場企業数は1996年の8,090社をピークに2019年に4,414社と20年で半数ほどの件数に減少しています。

ゆるい上場廃止基準から厳しい上場維持基準へ転換したことは、企業価値向上と株主価値向上いずれにしてもメリットは多いのではないでしょうか。

それでは具体的に新しい東証区分をみてみましょう。

プライム市場

東証1部に相当する最上位の市場。グローバルな投資家との建設的な対話とより高いガバナンス性などを要求。最も上場維持基準が厳しい市場になります。

スタンダード市場

公開市場における投資対象として十分な流動性とガバナンスを備えた企業向けの市場。いわゆる投資対象としてステークホルダーとの関係性など申し分ない感じでしょうか。

グロース市場

マザーズ市場と同レベルの基準でしょうか。高い成長性を有する企業向けの市場と位置づけされています。

以上の3つの市場に集約されることになります。

2022年1月現在で東証1部上場企業2185社のうち1841社と約8割が最上位のプライム市場を選択しています。 その1841社のうち296社はプライム市場上場基準に達していません。 そこで東証はプライム基準未達企業に改善報告書の提出によって希望する市場へ選択できるよう配慮しました。

改善報告書

新市場の上場維持基準未達企業が希望の市場へ上場出来るよう東証が改善報告書の提出という策を打ち出しました。

利益率アップや配当性向向上など企業価値向上と株主価値向上にむけ企業の今後の取り組みなどの計画を示させ、経過措置期間を設けて希望の市場へ上場できるようになりました。

ガイドラインがあいまいなので、中にはいい加減な改善計画書もあるので、今後投資銘柄を選定する際は投資先企業が上場基準に達しているかも確認するようにしましょう。

流通株式について

流通株式とは

 

今回の東証再編で要注目なのが、プライム市場の流通株式時価総額100億円以上という上場基準です。

流通株式の計算などはこちらに一覧にまとめました。

普通の時価総額(発行株式数×株価)ではなくて、簡単にいうと上場株式から流動性の低い株式を差っ引いた株数が流通株になります。

なので、流通株と事業年度末日の最終株価が流通株式時価総額となりますので、単純な時価総額で100億円以下の企業でプライム市場を選択している企業は、上場廃止になるなど注意が必要です。

TOPIXへの影響-段階的ウエイト低減銘柄

段階的ウエイト低減銘柄

 

東証1部全銘柄の指数、東証株価指数(TOPIX)は新市場スタート当初は市場区分に関係なく4月4日までの構成銘柄を引き継ぎます。

ここから注意なのが、プライム市場を選択している企業1841社のうち296社はプライム市場の基準に未達と書きましたね。

2022年4月から6月にかけて浮動比率の見直しからスタートし2022年10月末より段階的ウエイト低減銘柄を開始し、2025年1月末まで四半期ごとの10回にわけてTOPIX採用銘柄の選定が開始されます。

2022年4月から6月にかけて浮動比率の見直しからスタートし2022年10月末より段階的ウエイト低減銘柄を開始し、2025年1月末まで四半期ごとの10回にわけてTOPIX採用銘柄の選定が開始されます。

TOPIX選定など経過措置を経て決まっていきますが、流通株式時価総額100億円以下になる企業は今後、TOPIX連動型のETFなどファンドによる買い入れから外れていくので、売られやすく株価下落など注意が必要です。

あくまでの現段階の想定されるリスクですので、今は企業価値が低くても今後成長性を高め企業価値を向上させていく可能性も残されます。

ですので投資する銘柄選定に関しては今まで以上に慎重に選ぶようにしましょう。デイトレや短期トレードにはそこまで問題ありませんが。

まとめ

ざっくりでも東証再編の概念は理解できたでしょうか。

プライム・スタンダード・グロースと3つの市場に明確化し、厳しい上場基準などで企業価値を向上させ、国内外投資マネーの流入などでマーケットの活性化を図るなどの背景から新市場区分がスタートします。

TOPIXへの影響など2022年4月3日時点の記事では今後も、ガイドライン変更などもあると思われますので、大枠と懸念事項のみ書くことにしました。

わかりにくいところがあれば、コメントなりしてもらえれば答えるようにします。

 

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