(最終更新日:2022.05.12)

2022年3月期決算でみる注目銘柄

日本国内企業の決算も本格化してきました。

金利変動、円安相場、地政学リスクなど投資家心理としては不安定な相場は続きそうですが、それは現在だけでなく、つねに何かあるという認識でリスク管理を行い投資をしなければなりません。

2022/4/28時点で、決算が発表されている銘柄のなかからファンダメンタルとテクニカルの両面からみた投資歴15年そしてファイナンシャルプランナーでもある私が注目している銘柄をピックアップしたいと思います。

※投資は自己責任でお願い致します。あくまでも私個人が物色し購入候補にする予定のものも含まれています。売買のタイミングや断定的な売買価格などは差し控えますのでご了承お願い致します。

蝶理

繊維商社の蝶理(8014)です。化学製品なども取り扱っており、東レが主要株主でもあります。中国マーケットとの結びつきも強く、アフターコロナによる中国経済回復による動向にも目が離せません。

22年3月期の経常利益は前期比+120.6%の102億円でした。23年3月期の連結経常利益予想は増益の120億円(前期比+16.8%)の見込みです。

株主配当も年々増配しており、今期は84円で配当利回りは4.8%程度と利回りの魅力的です。23年3月期の配当は通期で100円を予定しており、高配当銘柄としても注目されます。

22年3月期の営業キャッシュフローが23億円の減少でした。仕入れ債務の増加、売上債券の増加によるもので、営業キャッシュフローの収益改善を注目したいところです。

PERは約6倍と割安ですが、財務健全性は良好なので、配当金目的としても優良株の一つです。

村田製作所

続いて村田製作所(6981)です。センサ関連部品からバッテリ、コンデンサやピエゾなどの電子部品など幅広い事業分野を持つ日本のハイテク企業の一つでもあります。

村田製作所の22年3月期(米国基準)の当期純利益は前期比+32.5%の3,100億円でした。

リモートワークによるPC向けが好調でコンデンサなどの製品が増益。HDD向けの微細圧電素子なども製造するなど技術開発力トップレベルの企業です。

23年3月期の通期連結予想は税引き後純利益3,240億円(+3.1%)と予想。厳しめの予想ですが、中国コロナウィルスの影響、為替レートなど今後の業績予想修正等、継続して動向をウォッチしていきます。

テクニカル的には5/2で75日移動平均線を飛び越えました。一目均衡表の先行線に支えられる形で終了。来週以降も調整をはさみながら上昇トレンドに乗るか注目です。

全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)

続いて空運業のANA(9202)です。こちらからは競合の日本航空(9201)と比較してみましょうか。ANAは日本基準、JALはIFRS基準と両社会計基準の違いがあり、若干損益の組み込み方が違うので本業の儲けとなる営業利益を中心に見ていきましょう。

2022年3月期の売上高は1兆200億円(前期比+40.0%)で前期よりも増収となりました。本業の儲けをあらわす営業利益は1,730億円と赤字になりましたが、前期の4,647億円の赤字からみると大幅に改善しているのが伺えます。

2023年3月期通期の連結業績予想は営業してま最終利益500億円の黒字予想となっております。

ANAの競合となる日本航空(JAL)の業績は2022年3月期の売上収益は6,827億円で営業利益は2,347億円の赤字でした。

2023年3月期の連結業績予想は最終利益450億円の黒字予想となっております。

両社とも最終利益となる当期純利益はともに500億円前後の黒字を見込んでいる予定です。

アフターコロナ後の国際線需要復活が航空業界の重要ポイントになります。エネルギー資源高騰による燃料コスト増、海外観光客の訪日には円安は良い面ですが、円安による悪い面(燃料コスト増)もあるとの認識は必要です。

ANA国際線収入

JAL国際線収入

ANAとJALでコロナ前の2019年度とコロナ後の2021年度の国際線収入を比較すると、両社ともコロナ前は5,000億円以上の国際線収入がありました。

コロナ後の2020年度から2021年度を比較し、両社とも国際線需要は回復傾向で前期より150%以上両社とも国際線収入が回復しています。

ほか両社ともコスト削減や航空機の貨物転用などの営業努力面による収益改善は企業として評価しては良いのではないでしょうか。

ANA&JAL比較

簡単に両社の各指標をまとめてみました。ANAとJALでは会計基準の違いもありますので、数字としては差が大きくなる箇所もありますが、各社の決算書に記載されている収益と財政状態の数字を記入しました。

最終的に会社に残るお金になる当期純利益は両社とも1,400億円以上の赤字。

ANAに関してはPER55倍の市場では割高感はありますが、先行きの航空需要回復の期待も織り込んでいると思われます。

個人的に気になるのは有利子負債です。JALは IFRS基準で決算書の流動・固定負債の有利子負債と書かれた項目を合計した金額です。

JALは有利子負債金額は小さいですが、流動・固定負債合計額は1兆5千億円とANAと同水準にあります。

好業績のトヨタ自動車なども多額の有利子負債を抱えていますが、タックスシールドとよばれる節税効果が見込め、現金などの流動資産など資金繰りが問題なければ単純に借金が多いからといって財務安全性に問題があるとは言えません。

それでは短期の資金繰りをみるために流動比率で両社みてみましょうか。計算式は流動資産÷流動負債×100です。

ANAの流動比率は188%。JALは160%。

業種や会社規模によりますが、一般的に流動比率が120%を上回っていると短期の支払い能力に問題はないと言われています。

一年位内に支払わなければならいお金に関しては両社とも問題ありません。

今後のコロナ収束がポイントになります。足もとでは入国制限を緩和するなどのニュースがでておりアフターコロナへの期待が高まります。

空運株のポイントとして

円安による燃料コスト懸念(悪い面)

円安によるインバウンド期待(良い面)

多額の有利子負債

国際線需要の回復

などです。

以上の4社を簡単ではございますが、解説しました。引き続き主力企業の決算はつづきますが、またピックアップして紹介していきますので、銘柄選定の参考になれば幸いです。

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