2022年3月28日のブログで紹介したライフネット生命株が上昇トレンドに乗ったので解説してみようと思います。
今回も引き続き『入力するだけ!エクセル株分析エクセルシート』(ダウンロードリンクは記事にあります)を使用しながら説明します。
目次
ライフネット生命保険株式市場(7157)
ネット生命保険の草分け的存在、独立系生命保会社のライフネット生命保険株式会社(7157)です。2020年以降のコロナ禍でも順調に新規契約件数を伸ばし、保険会社の支払い安全性を示すソルベンシー・マージン比率は2022年3月時点で3,182%(ライフネット生命公式サイトより)と高い安全性を確保しています。
株価の方も2020年4月以降の日経相場全体の上昇を追い風に2020年5〜10月にかけて最高値1785円まで株価を上げました。
2015年4月にはKDDIと資本・業務提携を結び業務拡充と信用性の補完などの躍進が目立ちます。
ネット専業保険として保険外交員がいなく、従業員数は174人(大手某保険会社は約5万人)と大幅に少なく、固定費となる人件費が比較的軽やかいえます。
テクニカル
2021年10月18日から2022年3月14日の安値471円まで下落トレンドが続きました。2022/3/16にトレンド転換、その後3/25まで順調に上昇。4/25までは3/17の安値510円付近を支えに方向感のないまちまちな値動きとなりました。
5/12の通期決算を終えたあとは5/16より明確に75日移動平均線を抜け、出来高を伴いながら8/19まで利益確定などの調整をはみながら上昇トレンドへ乗せていきました。
オシレーター指標などは弱気のサインも見受けられますが、トレンド系の各指標では今のところ支えとしているポイントは下回っていないので、利益確定となる価格を引き上げつつ動向に注目です。
ファンダメンタル
業績などのファンダメンタルなところをみてみましょうか。
新契約数と新契約年換算保険料は横ばいおよび鈍化傾向です。保有契約件数および保有契約年換算保険料は右肩上がりとなっています。
保険会社の財務三表は一般企業とは少し異なります。一般企業の収入は売上高と呼びますが、保険会社の売上とは保険料収入と資産運用によって得た収入の合計で、経常収益と呼ばれます。これは銀行などの金融機関で使われている会計用語です。
損益計算書(P/L)おもな経常費用は、事業費・保険金等支払い金・責任準備金繰入額です。事業費は生命保険事業を営むための必要経費で、おもに人件費や管理費、広告費など必要経費のことです。保険金支払いは契約者への保険金の支払いになります。
責任準備金とは保険業法で義務付けられている将来の保険金・給付金に備えた積立金のことです。貸借対照表(B/S)では負債として計上されますがキャッシュフロー計算者(C/F)では増加要因になります。
大手老舗生命保険でも営業キャッシュフローはマイナスとなっていますが、第一生命やかんぽ生命などは投資活動のキャッシュフローではプラスとなり営業C/Fのマイナス分を相殺し、フリーキャッシュフローではプラスとしています。
金融機関系の計算書はややこしいですね。再保険料とは保険会社と契約者と結んだ保険契約をリスク分散のために別の保険引受け会社と契約を結び支払った費用となります。
エンベディッド・バリュー(EV)
ざっくり解説しましたが、保険会社は開業時そして保険契約者を募集するのに多くの費用がかかることに加え、10年ないし20年以上の長期に渡って契約者から保険料を回収していくので、会計上の利益が実現するまでは時間がかかってしまいます。
そこで保険会社の企業価値をはかるための指標にエンベディッド・バリュー(EV)というものがあります。欧州など海外の生命保険会社およびライフネット生命はこちらを重視していて、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)と呼ばれています。
今後のポイント
ライフネット生命が継続して成長して黒字化に転換するには、新規契約者加入による保険料収入の増加させながら、保険料・給付金の支払い原資となる資産運用での収益改善がポイントとなります。ライフネット生命の公式ウェブサイトでは月次の新規契約数が毎月発表されるので動向を見守りながら、更なる飛躍に期待したいところです。
まとめ
スマホやPCで手軽に加入できるネット保険のライフネット生命。その手軽さから20〜30代の比較的若い層の加入が目立ちます。FPとしてまた別のブログで保険についてお話する予定ですが、今回はライフネット生命の株についてのお話でした。
『期待で買われ事実で売られる』という投資の格言があるように、ライフネット生命のトレンド転換には、今後のライフネット生命の成長への期待で買われたといえます。引き続きライフネット生命の業績及び株価の動向に注目です。
決算書の読み方関連で面白い本がありました。こうやって比較しながら読むと理解が深まると思います。
この記事へのコメントはありません。