NISAおよびつみたてNISAに関しては現行制度から大幅な変更が議論されており、今後変更がありましたら修正および加筆を行います。(2022年12月時点)
FPが教えるお金の講義。今回は人生100年時代のお金について、シンプルでわかりやすく解説していきたいと思います。
老後2000万円問題がささやかれていますが、老後の資産形成は準備できていますか?
すでに老後の安心を賄えるくらい資産がある方もいるでしょう。反対に年金はいくら貰えるのか?今の年収、預貯金または投資資産などで老後も安心して暮らせるのだろうか?
人それぞれ色んな方がいると思います。少しでも不安な方がおられるなら、今回の記事を最後までお読みになると資産形成に向けての基礎知識が身につくように、図解を豊富に書きました。
物価高(インフレ)による現金資産または年金の目減り、数十年後の日本の物価や景気はわかりませんが、必ず訪れる老後のために少しでも資産形成に対する意識が芽生えてもらえるなら幸いです。
資産形成のポイントは『支出を減らす』『収入を増やす』『お金を運用する』の3原則です。
記事の終盤からはExcel(またはGoogleスプレッドシート)を使った投資の利回りなどの計算や、ファインシャルプランナーである筆者が実際に読んでお薦めしたい書籍などを紹介しています。
それでは最後までお読みください。
目次
現在の収支バランスを把握しよう
まずは自分の現在の立ち位置を把握することです。
私がオススメしているのは松井証券(株)が提供している『松井FP〜将来シュミレーター〜』です。
口座開設をしなくても利用でき、年齢や家族構成、年収や支出など大まかに入力することで老後の収支バランスが概算ですが把握することができます。
早速試してみましたか?結果をみて肩を落とす人もいれば、余裕じゃんて思う人いるでしょう。
不安を覚えたかたは少しでもその不安を取り除くためにも、今から出来る資産形成にむけて1日でも早く取り組んでいくべきです。
年金はいくら貰えるの?
会社員また自営業者など色んな働き方があり、一概に精度の高い年金額をだすことはこの記事ではしませんが、国民年金または厚生年金など概算で把握することは可能です。
年金は第1号被保険者に該当する1階部分の国民年金(老齢基礎年金)と第2号被保険者となる会社員や公務員が加入する厚生年金(老齢厚生年金)との2階建部分にわけられます。
またその他には3階部分となる厚生年金基金や確定給付企業年金などもあります。
国民年金は年金保険料を満20歳から60歳まで(40年480ヶ月)加入して、月額16,590円(2022年4月時点)をすべて払い込んだとして、年間777,800円もらえます。
自営業者やフリーランスのかたは国民年金しかもらえないため、後に解説しますがご自身で運用などを通じて老後資産を補填する必要があります。
第2号被保険者にあたる会社員や公務員の方は、国民年金にプラスして老齢厚生年金ももらえます。
厚生年金に関しては年収や勤続年数によりバラツキはうまれますが、概算で計算するなら『勤続年数×年収×0.0055』で求めることができます。
図のモデルケースだと大卒後22歳から定年の65歳までの43年間、平均年収500万円の方だと『43年×500万円×0.0055=1,182,500万円(年間)』となり、国民年金と合わせると年間約200万円の年金が貰える計算になります。
また毎年誕生日月になると日本年金機構から送られてくる『ねんきん定期便』には、ご自身の過去の払い込み状況や、現在までに納めた掛け金総額から将来貰える年金額も記載されていますので、参考にしてみると良いでしょう。
ねんきんネットと呼ばれるWebサービスも登録すればリアルタイムで自身の年金状況が確認できるので、興味がある方は登録してみましょう。
毎年いくら運用すれば目標額になる?
ざっくりとご自身の年金額は把握できたでしょうか。それでは将来いくら貯めたいのか、また目標額に達するには毎年いくら貯める(運用する)必要があるのかみていきましょう。
その前に老後資産2000万円必要と言われる所以について簡単に話しましょうか。
先ほどの年金のところで会社員のモデルケースで年間の年金額約200万円もらえるとお話しました。月額でみると約17万円弱ですかね。
独身または夫婦二人、持ち家(ローン有無)か賃貸、退職金の有無、貯金などライフケースは千差万別ですが、現在の試算では定年後の生活費は1か月約24万円。
先ほどのモデルケースの例だと生活費24万-年金17万円=不足7万円。仮に90歳まで生きるとして約21,000,000万円が不足することになります。
現在は医療なども発達し長寿命化など喜ばしい反面、経済面では長生きのリスクも考慮しなければいけません。
減債基金係数で毎年の積立額を把握する
老後2,000万円問題が理解できたでしょうか。これはあくまでも現在の資産で、今後日本がインフレが進み現金資産の目減りすることは考慮されていません。
もちろん日本が将来インフレ化していくとは誰にもわかりませんが、低金利の預貯金で貯めているお金の一部を投資信託などの投資で効率的に運用する必要があります。
FPの試験勉強にもあるのですが、将来目標とする金額を利回りと積立年数で求めることができるのが減債基金係数と呼ばれるものですエクセルのPMT関数で簡単につくれます。
図に倣っていくと、利回り5%の投資商品で運用期間20年で2,000万円を用意するには係数表より『2,000万円×0.3024=60.4万円』
毎年積み立て額604,000円(50,333/月)という結果になりました。
期間を30年にすると『2,000万円×0.01505=301,000円』と月あたり約25,000円を運用すればいい計算になります。
資産運用を始めるには年齢が若いときに始めるのが有利で、そしてより長期的に運用するほうがリスク分散の観点からも良いと判断できます。
私の観点からすると毎月預貯金に使えるお金のうち、2〜3割を投資信託などの投資商品にまわせば御の字といったところでしょうか。
現金は流動性もよく、自身1か月の生活費の半年分ぐらいは確保できているのなら後は運用にまわしたいところです。
そこまで預貯金や投資にまわせるお金は無いよという方。それならば少しでも多くお金を残すために、日々の支出、そしてこれからの収入を増やすための努力をしていきましょうか。
次のステップで収支バランスの把握と見直しをしていきましょう。
無駄な支出を減らそう
少しでも無駄な出費を控えるためには収支バランスを見直すことが重要です。家計簿をつけておられる方もいるでしょう。はては家や車などの資産が大きい方もいるでしょう。
無駄な支出を減らすことだけでも、それは立派な運用ともいえます。
別にカリカリにケチることはしなくても、その買い物は価値があるものなのか?ポイントが付くからといって不必要な物を買ってはないか?使う出番が少ないクレジットカードの年会費は払っていないか?
スマホに関しても格安SIMに乗り換えるだけで月に約3000円も浮かせられますし、サブスクリプションの見直しなど、改めて見直すと意外に無駄な出費に気づくはずです。
誤解してほしくないのはケチケチして支出抑えましょうということではありません。何にお金を使うに尽きます。
旅行や娯楽も楽しみたいでしょう。コンビニで買う缶コーヒーの代わりに、タンブラーに変えて家でコーヒーを淹れていけばそれだけでも月に3000円くらいは浮きますよという話です。
バランスシート(B/S)と収支シート(P/L)
まずはバランスシートを活用して自分の収支と資産と負債の把握をしていきましょう。
FPなどに資産運用の相談をした方は下のようなバランスシートを記入したことがある方もいるかれもしれません。
10円単位や100円単位まで細かく記入する必要はありませんが、毎月の領収書などを参考にしながら記入してみましょう。
収支状況(P/L)に関しては、年に一度会社からもらう源泉徴収票などを参考にしてみましょう。
『収入-支出=プラスorマイナスorとんとん』結果はどうでしたでしょうか?
とんとんとプラスなら良しで、マイナスなら考えものです。ボーナスや貯金、借金から補填していることになります。
以上のバランスシートと収支シートは毎年付けて、前年から資産が増えたのか減ったのか差を比較することが大切です。
生命保険は人生で2番目に高い買い物?
生命文化センターの報告によれば令和元年度の生命保険加入率は男女ともに約80%との調査報告がでています。
不意の大きなリスクに備えるためには保険はもちろん重要です。例えば交通事故で相手方を死亡させて場合など億単位の高額賠償を請求されることや、火災で家を失うなど数千万円単位のお金がかかるリスクに対しては保険は重要になります。
生命保険に関しては一度契約してからは一度も見直しをすることもなく不必要な保険商品が入ったまま更新している方もいるのではないでしょうか。
図で示したように生命保険には大きくわけて3種類の保険があります。
定期保険
定期保険とは保障期間があり、満期時の返戻金がなく保険料が安い保険をいいます。
終身保険
終身保険は保障が一生涯続き、死亡と同時に保険金が支払われる保険です。
養老保険
養老保険とは満期があり、満期を迎える頃に保険金額と同額の返戻金がある保険で、貯蓄性が高いぶん保険料も高めの特徴がある保険です。
1980〜1990年ごろのバブル期のように預金金利が年5%もあったころのように養老保険の利回りも5〜6%あった時代は人気でしたが、現在は利回りも下がり魅力は薄れています。(この頃に加入した方はお宝保険として無理に解約する必要はありません)
生命保険にかかるお金はどれぐらいなのか計算してみましょう。あくまでも一例ですが、30歳男性で終身保険60歳払い込みで保険金額1,000万円で試算したのが、上記図の結果です。
概算で月額24,130円×12ヶ月×30年=869万円になります。
保険金額を増やすと掛け金総額が1,000万円を超えることもある保険。人生で2番目に高い買い物と言われる所以です。
保険は自動車事故などの高額賠償、火災や地震による住宅などの保証など、不意の大きなリスクに備えることが目的です。
生命保険にも当てはまりますが、例えば子育て世代などで一家の大黒柱が万が一のリスクに備えることが重要です。
現役世代、とくに子育て世代の方には定期付終身保険などを検討することも保険料を抑える秘訣です。
定期付終身保険とは、終身保険をベースとし上乗せで定期保険がついた保険です。
子育て世代の親御さんだと、子供が自立するまでは終身保険300万円にプラス定期保険2,000万円の保険金額が60歳まで。
子供が自立するであろう60歳以降は、自分の葬儀代程度まかなえる終身保険部分300万円のみ残ることにします。
保険料も図で計算したように月々1万円台とお得に保険が掛けられます。一括で保険金を受け取る以外にも、年金形式で受け取れる収入保証型の保険商品もありますので、各社の保険商品を参考にしてみましょう。
また住宅ローンで持ち家を所有しているかたは団体信用保険に加入していたり、健康保険の高額療養費制度などを活用すれば不必要な医療保険にも入らずに済みます。
保険の基本は掛け捨てと割り切り、相続税対策(法定相続人1人あたり500万円の非課税枠)などで生命保険を有効に活用して、保険の見直しをしてみましょう。
収入を増やす
支出を見直すだけでも毎月のお金に余裕は産まれますが、収入を増やす努力をすることもまた大切です。
国を挙げて副業の解禁などで、本業以外にも収入源を持つ人も中にはいるでしょう。
年功序列・終身雇用が崩壊しつつある日本で、第2の収入源をもつ重要性は高まりつつあります。
いきなりFIRE的な生活を目指す必要はありませんが、お金がお金を産む仕組みをつくるためにも元手になる現金は多いに越したことはありません。
資格の取得や自己投資、難易度は高まりつつありますがYouTubeで稼いだり、最近では動画編集などでも収入を得るなど、インターネットの進化で急速にマネタイズしやすい社会となりました。
収入を増やすには地道な努力が必要で職場でのスキルアップもですが、中々効果が出るまで時間がかかるのがデメリットです。
そこでまずはメルカリやヤフオク、ジモティなどで不用品の売買や『せどり』を行うことから始めてみましょう。
せどりと一言で終わりますが、商品の紹介、魅せる写真撮影、買ってもらうためのセールストークなどビジネスに必要な要素が詰まっています。
手っ取り早く収入を増やすにはせどりを始めてみてはいかがでしょうか。
または思い切って転職してみるのも収入を上げるための手段です。転職で収入が下がったなどの声もありますが、面談の際には給与面など言いにくいことでもしっかり交渉することが重要です。
日本にも数多くの転職サイトもありますので一度登録してみて、転職の有無に関係なく自分の市場価値を把握してみるのも良いかもしれません。
本業でのスキルアップも重要ですが、間違っても副業で時給のバイトなどはしないように。自分の時間を売って報酬を得るのは本業で留めておいて、出来れば自分の知識やスキルを売るような副業ができれば、これからの時代を生きていく上で必ず強みになると言えます。
お金を運用する 投資の基本と商品
では最後にお金に働いてもらい運用する方法をシンプルに紹介していきましょうか。間違っても保険で運用は考えないように。
貯蓄・保険・運用はすべて別物として考えるようにしましょう。
投資商品によるリスクの違い
まずは投資商品の違いによるリスクを理解することからはじめましょう。
リスクとはネガティブなイメージとして使われますが、投資の世界では値上がりと値下がりのどちらの振れ幅もリスクというワードで表します。
元本が保証されている債券はリスクも小さくリターンも小さいローリスク・リーリターン、株式投資のようにリスクが大きいがリターンも大きいハイリスク・ハイリターンにわけられます。
図のイメージでいくとリターンは同じ100万円でも、投資商品①はリスク50%、投資商品②はリスク10%では資産額の振れ幅に大きな差があり、売却のタイミングによっては損失が発生することもあります。
そしてもう一つ、リスク許容度も重要で自分の資産がどれだけ損失しても良いのかという点も投資商品を選ぶ上で重要です。
投資のキホンは長期・分散・積立
そして投資における資産形成では『長期』『分散』『積立』が基本の考え方となります。
10年以上の長期にわたる運用を行うことで、短期間におきた投資商品の暴落による損失の軽減、そして複利効果による恩恵を受けやすくなるといったメリットがあります。
投資商品にローリスク・ローリターンの国債、ハイリスク・ハイリターンの株式があるように、複数の投資商品を分散することで価格変動リスクを抑えることも大切です。
これはアセット・アロケーションと呼び、異なる資産クラスを組み合わせて、自分のリスク許容度および目標額に応じて、資産配分の内訳を具体的に組み合わせることをいいます。
そして毎月定期的に積み立てることも、長期にわたる資産形成では有効となる手段です。
例えば投資信託を一括で100万円分投資するのと、100万円を10年にわけて投資していくのとでは、金融市場の相場状況によっては一括投資は高値で掴んでしまうおそれがあるからです。
以上、投資の基本は長期・分散・積立と覚えましょう。
投資商品 国債
国債(債券)とは国や地方公共団体が投資家から資金調達するさいに発行する借用証書です。
債券を購入するとあらかじめ決められた利子が受け取れ、償還時に額面に記載されている金額が返ってくる商品です。
個人が買える国債には変動金利10年、固定金利5年、固定金利3年があります。
最低金利保証が0.05%で、低金利が続く銀行預金よりはうまみがあるといえるでしょう。
日本は長らく低金利政策をおこなっていますが、もしもこれから先に日本の金利が上がるようなら変動型の債券だと利ざやを得られるかもしれません。
購入金額は1万円から購入でき、購入から1年が経過すれば購入価格で中途換金が可能です。(中途換金の場合ペナルティとして直近2回分相当の利子が引かれるが、2回分の利子を貰ったあとなので元本割れはしない)
日本国債以外では外国債などもありますが、信用格付けの高い国の金利は低く、信用の低い国の金利は高い傾向にあります。
債券価格と金利の関係性と、利回りの計算式は過去のブログで詳しく解説していますので、一度参考にしてみてください。
『債券と金利の関係』過去ブログ
投資信託
投資信託とは複数の投資家から集めたお金を運用のプロ(ファンド)たちが、金融市場において債券、株式、REITなどの金融資産を運用して収益を増やす投資商品です。
投資信託の手数料や税金はこちらで詳しく解説しています『図解で解説!投資信託のキホン編 コストと税金』
一人では運用しにくい高額の金融商品を複数の投資家からお金を集めることによって、高額の商品を購入したり、複数の商品に分散投資することでリスク分散も可能となります。
投資家は本業に専念しつつ、運用はプロに任せられるので、自分で銘柄の選定などを行う株式投資などとは違うため、投資の初心者などに幅広い方にオススメできるのが投資信託となります。
投資信託は大きく分けて、株式市場の指数(有名どころで米国S&P500など)に連動するインデックスファンドと、指数を上回る運用成績を目指すアクティブファンドの2種類があります。
ほかには分配金の有無、国内外株、国内外債券、REIT(不動産)など、投資信託といえど約6000種類弱は販売されています。
投資信託の基本的な買い方は上記図の流れになります。
投資信託は投資の基本となる長期・分散・積立にうまく合致した商品となります。上記図のように毎月定額で購入することで基準価格の高い時は少なく買い、安いとは多く買えることでドルコスト平均法のメリットを享受しやすいといえます。
投資を始める年齢、家族構成などライフスタイルによって組み合わせる投資商品も違ってきますので、ライフプラン別に選ぶ投資信託についてはまた別の機会に記事にしていきます。
株式投資
株式投資とは、企業が資金調達の手段の一つとして発行された株券を証券取引所と証券会社を通じて購入、企業の株主および経営に参加する権利や配当や優待をもらう権利を得ることです。
株式投資で得られる収益は大きくわけて2つ。株価が安い時に買って株価が値上がりした時に売って利益を得るキャピタルゲインという手法。
そして保有している間(厳密には権利確定日)にもらえる、配当金や株主優待などのインカムゲインの2つにわけられます。
企業の財務分析(ファンダメンタル)やチャート分析(テクニカル分析)など、ハードルは高めでプロでも株価の先行きを読むのは難しいと言われています。
上記図のように株価が動く要因だけでも主に7種類の要因があり、個別企業の分析だけでなくその企業が属する業界、国内外の社会情勢、為替、需給関係や人々の思惑など、全体を俯瞰する必要があります。
といいつつも株式投資で利益を出している人がいるのも事実。株価の割安度をみる有名な指標としてPER(株価収益率)というものがあります。
PERとは株価を一株当たりの純利益(EPS)で割った数値で、株価が一株純利益の何倍まで買われていまるかをみる指標です。
PER(倍)=株価÷一株当たり当期純利益(EPS)
一般的には15倍を基準にして15倍以上を割高、15倍以下を割安とします。ハイテク株など成長性の高い企業は、その期待からPERは高くなりますが、その企業が属する業界の同業他社と比較するといいと言えます。
そしてもう一つみるのが銘柄に投資した際の利回りです。利回りには配当金が出る企業なら配当利回りなどを参考にできます。
配当金の有無に関わらず利回りをみる指標に、株式益回りという指標もあります。
さきほどのPERの計算式の逆数で計算。
株式益周り(%)=一株当たり当期純利益(EPS)÷株価
上記図で例にした企業Aと企業Bでは、企業Aでは株価は割安となりましたが、益回りでみると利回りは企業Aが高くなりました。
反対にPERでは割高となった企業Bは、益回りでは利回りが低くなっています。
米国の株式指数の一つで、GAFAMや半導体ハイテク株など高PER株の構成比が多いナスダック指数というものがあります。
米国の金利が上がると、ナスダック指数やSOX指数が下落する要因の一つに、ハイテク株(グロース株とも)の益回りの低さがあるからです。
外貨預金・FX
外貨とは日本円以外の外国の通貨のことで、記事では米国通過ドルを例にします。そしてこの外国の通貨で預金することを外貨預金と呼びます。
外貨預金とは別にFX(外国為替証拠金取引)と呼ばれる、少額の証拠金を預けてそれ以上の金額の取引(レバレッジ最大25倍)ができる手法もあります。
外貨預金を行う上で理解するのが為替。2国間の異なる通貨を両替するときの価格を為替レートと呼びます。
上記図を例にすると1ドル=100円のときにドルで預金。1ドル=110円に円安(円の価値が下がる)になっていれば得をし、1ドル=90円まで円高(円の価値が上がる)になっていたら損をすることになります。
米国など日本よりも金利が高い国の通貨では為替差損益のほかに、日本の円建ての預金金利よりも高めの金利が付くこともポイントです。
デメリットととしては、日本円の預金では銀行破綻などで1,000万円まで補償されるペイオフが外貨預金では適用されません。
また利息は一律20.315%の税金引かれますが、為替差で利益が出た場合は総合課税の対象となり、給与所得と合算で累進課税の適用となり最高税額55.945%が課税されます。
そして外貨と円の交換の際にも手数料がかかるなど、為替変動リスク、税金面などデメリットも目に付くことが多いのも特徴です。
不動産投資
最後は不動産投資について。家や土地を売買(キャピタルゲイン)したり、またはマンション経営で家賃収入(インカムゲイン)を得たりするのが不動産投資の大きな特徴です。
ここ数年のマンション需要の高まりから、中古物件でも好条件の物件なら高値で売れたとの話もちらほら聞きます。
不動産投資には高額の資金が必要で、個人で行える人は限られますが、少ない資金でも不動産投資に参加でにるREIT(リート)とよばれる投資商品もあります。
REITとは投資家から集めたお金で不動産を購入、賃料や売却益を分配する投資商品です。
複数の不動産や一等地にある大規模な商業施設やホテル、また外国の不動産などにも分散投資することで、リスク分散もできるのが特徴です。
そして東京証券取引所に上場されたREITをJ-REITと呼び、証券会社を通じて自由に売買したりと流動性も兼ね備えた投資商品といえます。
REITにも投資信託同様にインデックスファンド型とアクティブファンド型があり、アクティブファンド型の方が信託報酬は高めになります。
投資信託にもこのREITが組み込まれた投資信託もあり、債券・株式・REITとリスク分散しながら運用可能となります。
お金を運用する NISAとiDeCoで得をしよう
NISAとは?
少額投資や長期にわたる資産形成を国が支援する非課税制度をNISAと呼びます。NISAには『一般NISA』『積立NISA』『ジュニアNISA』の3種類があり、年間で最高120万円までの投資で得た利益に対しては非課税という優遇が設けられています。
一般NISAは国内株、ETF、投資信託など幅広い投資商品を年間120万円まで投資でき、そこで出た利益は非課税になります。
積立NISAは長期での運用を前提として、年間40万円までの投資で発生した利益は非課税。投資できる商品は金融庁が認めた投資信託やETFなどに限られますが、逆の意味で言えば金融庁が推奨する優良な投資商品とも捉えれます。
ジュニアNISAは子供の資産形成を目的として、原則親権者が代理で運用する制度になります。
NISAの非課税期間は5年間。非課税期間終了後は
①新たな非課税枠として翌年のNISA口座へロールオーバーする
②課税口座へ移す
③投資資産を売却する
以上3点のいずれかになります。
注意点は口座開設する際は一般NISAと積立NISAはどちらかしか選択できません。
そして一般NISAとジュニアNISAは2024年から新制度に移行することになります。
2024年から新制度に移行するNISAのポイントは
- 一般NISAの制度が2階建になる
- 合計非課税枠は122万円
- 口座開設期間が2028年まで
以上の3点が新しいNISAの特徴です。
新NISAの2階部分とロールオーバーについて以下の図でまとめてあります。
iDeCoとは?まずは公的年金制度を知ろう
iDeCoの説明をする前に現在の公的年金制度の説明を簡単に行います。
現在の公的年金制度は自営業者や学生などが加入する第1号被保険者、会社員や公務員が加入する第2号被保険者、そして第2号被保険者に扶養されている妻または夫が加入する第3号被保険者の3つにわかれています。
公的年金の1階部分に当たる老齢基礎年金(国民年金)は第1〜3号被保険者に支給。2階部分に当たる老齢厚生年金は第2号被保険者に支給されます。また会社員の場合はこの2つの年金に上乗せとして、確定給付年金や企業型確定拠出年金などの企業年金も会社によっては掛けられています。
老後の資産形成を公的年金以外で運用することを推奨する制度がiDeCoとなります。特に第1号被保険者の場合、公的年金が国民年金(満額 年間約78万円)のみになる方達には積極的に活用したい制度です。
掛け金の上限は第1〜3号被保険者によって異なるので、図にまとめましたの参考にしてください。
第1号被保険者の掛け金上限は月額68,000円となり、国民年金基金および付加年金との合算枠になるので注意が必要です。
iDeCoの税金優遇としては以下になります。
- 拠出時の掛け金の全額が所得控除の対象
- 運用期間中の運用益が全て非課税
- 受け取り時は退職所得控除(一括受取)または公的年金控除(年金受取)の対象
所得税と住民税の所得控除の計算は図を参考にしてください。
iDeCoの重要な注意点としては60歳までは引き出しができないことです。これから結婚や子育てなどライフプランの大きな変更がある方は毎月の掛け金を無理のない範囲で設定することが大切です。あくまでの年金のおまけという認識で主な運用は投資信託など比較的流動性の高い投資商品で運用すべきです。
iDeCoは2022年から新制度になりました。
加入年齢が現在の59歳から64歳まで加入可能に。受取開始年齢が75歳まで延長されたことで、受取時に金融市場が下落していたら受取をずらすことで価格変動リスクを抑えることが可能となります。そして企業型DCとの同時加入が緩和されたことで多くの人が同時加入可能となりました。
小規模企業共済 自営業者・社長に退職金を
老後の資金を自身の貯蓄または投資資産、国民年金のみに頼らなければならない自営業者やフリーランス、小規模の社長さんに検討していただきたいので小規模企業共済です。
掛け金は毎月1,000円から70,000円(500円単位ずつ)まで自由に設定できます。受取金額は加入時期により原則確定ですが、掛け金全額が所得控除の対象となります。
注意点は納付期間20年(240ヵ月)以内に中途解約すると元本割れをすることがあるので、万一現金が必要な場合は月々の掛け金額を減らすか、共済から融資を受ける形でできる限り解約をしないことです。
知ってると便利!投資の利回り計算(72の法則&Excel関数)
最後は知って便利な投資の利回りの計算方法をご紹介したいと思います。
72の法則
最初に紹介するのは72の法則です。これは投資商品を複利運用した時に、複利率がわかっているのなら当初の資産が2倍になるまでの年数、2倍になるまでの年数がわかれば複利利回りは何%なのかがわかる計算方法です。
図の例でいくと年利が5%の場合、72÷5(年利%)=14年と年利が5%の場合、資産が2倍になるまで概算で14年かかるという意味です。
また20年で資産を2倍にしたければ、72÷20(年)=3.6%で年利3.6%の金融商品で運用すると20年で資産が倍になるということです。
あくまで概算ですがおおよその期間と年利を把握する際に使えるので、活用してみてください。
Excel編 POWER関数
Excelなどの表計算ソフトでも簡単に利回りの計算ができます。Excelが入っていない方は、Googleが提供しているスプレッドシートでも計算が可能です。
まずはPOWER関数。これで複利率や終価(元利合計)を求めることができます。
終価(元利合計)=元本×POWER(1+年率利回り,年数)
複利率=POWER(終価/元本,1/年数)-1
Excel編 FV関数
続いてFV関数(フューチャーバリュー)。一定の利率が決まっている場合に、投資の将来価値(満期額)を求めることができます。
計算式 =–FV(利率,期間,毎月支払い額,現在価値,支払い期日)
FVの前にマイナスを付けることがポイントです。年利を12ヶ月で割って月利にし、期間一年なら12ヶ月と月数にすることです。
例 =-FV(年利/12ヶ月,月数,毎月の金額,当初元本)
上記図を例にすると、当初元本を無しにする場合は
=-FV(0.05/12,120,10000)=1,552,823円となります。
また当初元本がある場合は
=-FV(0.05/12,120,10000,100000)=1,717,524円となります。
このように簡単いExcelを利用して資産運用のシュミレーションができるので、ご活用してみてください。
まとめ
ファイナンシャルプランナーが教えるお金の講義。今回はいかがでしたでしょうか?
お金を増やす基本は『支出へ減らす』『収入を増やす』『お金を運用する』でしたね。
要点を絞って記事にしましたが、老後に向けての資産形成のためにも今回の記事を参考にしてもらえたら幸いです。以降のブログで個々の投資商品の解説なども予定していますので、興味がある方は再度訪問していただけたら幸いです。
もしわかりにくい所や詳しく知りたいことがありましたらコメント欄にコメントしていただければ説明いたします。
最後はFPの私が実際に読んでオススメしたいお金に関する本を紹介しておきます。
FPがオススメするお金に関する書籍9選
坂本綾子著 『お金の超基本』
ファイナンシャルプランナーである坂本綾子さんが書き下ろしている『お金の超基本』です。稼ぐ・納める・貯める・使う・備える・増やすなど、お金の勉強を初めてする方に一読してもらいた内容が一挙に網羅されています。
厚切りジェイソン著 『お金の増やし方』
厚切りジェイソン著 『お金の増やし方』は、お笑い芸人として活動していた厚切りジェイソンさんのお金の増やし方を書き下ろした本です。
お笑い芸人としてのイメージが強いですが、実はIT企業の役員としての側面もありプログラミンのスキルもある優秀なビジネスマンでもあります。主にお金の使い方からオススメの投資信託まで詳しく解説されています。
両@リベ大学長著 『お金の大学』
YouTubeで人気のある両@リベ大学長著 『お金の大学』関西弁でわかりやすく、また面白くお金にまつわる内容を幅広く書き下ろしています。保険に関するところは知ってると得になることも多いのでぜひ読んでみてください。
山崎元著 『お金の授業』
経済評論家の山崎元の『お金の授業』。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。その後は野村投信や住友信託、メリルリンチ証券など12回の転職を経て、現在楽天証券に在籍。専門は資産運用で金融機関に在籍していた経験から裏事情なども織り込みながら効率的な資産運用を紹介しています。
横川由理著 『保険こう選ぶのが正解』
横川由理著 『保険こう選ぶのが正解』 生命保険は人生で2番目に高い買い物と書きましたが、賢い保険の選び方や組み合わせ、加入しないくてもよい保険など保を見直すさいの参考になればと思います。
朝倉智也監修 『はじめての投資信託』
金融専門サイトのモーニングスター代表取締役 朝倉智也さんが監修の『はじめての投資信託』こらから投資信託を始める方に購入の仕方から商品選び、リスクとリターン、購入後のことなど初心者向けにわかりやすく紹介されています。図解も豊富なのでスラスラ読めるので、これから投資信託を始めたい方にピッタリの本です。
新屋真摘著 『はじめての資産運用』
ファイナンシャルプランナー新屋真摘著の『はじめての資産運用』こちらはこれから資産運用を始める上で、金融商品全般の紹介などを書き下ろしています。最初に紹介した坂本綾子さんのお金の超基本と近い内容なっています。
大竹のり子監修 『日本一やさしいNISA &iDeCoの学校』
ファイナンシャルプランナー大竹のり子さん監修の『日本一やさしいNISA &iDeCoの学校』資産形成のための国の支援制度であるNISAとiDeCoについて豊富な図解入りでわかりやすく説明されいます。長期にわたる資産形成では国が推奨する優遇制度は最大限利用すべきです。
滝澤みなみ著 『FP3級の教科書』
資格の学校で有名なTACが出版している『FPの教科書』あえてこの本を紹介したのは網羅性。ライフプランから保険、公的保証制度、税金や不動産などを理解するの使いやすいと言えるからです。FP3級程度の知識があればお金に関する基本的な知識は得られるので興味がある方は読んでみてください。また資格の勉強にも役立つのでオススメです。
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