FPによるお金の勉強

  (最終更新日:2022.11.7)

日銀の金融政策をFPがわかりやすく解説します

ファイナンシャルプランナーが教えるお金の講義。今回は日本の中央銀行である日本銀行(日銀)が行う金融政策についてシンプルにわかりやすく解説していきたいと思います。

買いオペや売りオペ、マイナス金利など専門用語も交え重要なポイントを抑えながら理解できるようにしました。

金利と債券について初歩から学びたい方はこちらのブログでわかりやすく解説しています。

債券と金利の関係

金利と債券価格の決まり方

はじめに

金融政策講義概要

 

銀行の銀行と呼ばれる日本銀行(日銀)とは何をしていて、経済にどう影響をあたえているかご存知でしょうか。

中学校とかでお金の価値をコントロールするために公定歩合という言葉は聞いたことある方もいると思います。

お金を刷りすぎるとお金の価値が下がってインフレになるとはよく言いますよね。

お堅くいうと日銀は物価の安定を維持し日本円の信用を担保するというのが日銀の役割です。

そこで今回は日銀が物価の安定と金利をコントロールするために行う金融政策についてシンプルでわかりやすく解説していきたいと思います。

イメージとして理解しやすいように、日銀の概要から金融市場の仕組みなどを最初に説明します。特に不要だという方は読み飛ばしても構いません。

日本銀行とは

まずは本題に入る前に日本の中央銀行である日本銀行(以下、日銀)について説明したいと思います。

日銀法の第一章では日銀の業務について以下のように記されています。

銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うこと

銀行その他の金融機関で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする

物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること

 

日本銀行法より

銀行券の発行とは、千円札や一万円札といったお金のことですね。

お札はただの紙切れですが、日銀がその価値を保証することによってお金として成立するわけです。

そして別の業務では物価の安定と世の中に出回るお金の流れを円滑にすることが日銀のおもな業務です。

たとえば今日一万円のモノがたった1日で物価が変動し、次の日に同じモノが二万円だったら物価が安定しているとは言えませんよね。

金利も同じく高すぎても低すぎてもダメで、適正な金利水準があります。

日銀はお金の価値と信用、そして日本にあるお金の流れをコントロールしているというわけです。

金融とは

それでは金融とは何なのでしょうか。簡単にゆうと『お金』を『融通』することです。

お金の貸し借りのように、お金に余裕のあるところからお金に余裕のないところへ融通するイメージです。

金融市場について

金融市場相関図

お金の融通をする場所のことを金融市場といいます。株式市場のように株を買いたい人と売りたい人がいるように、お金の貸し借りにも市場があります。

※株式市場も金融市場の一部です

インターバンク市場

金融市場には取引期間が一年未満の短期金融市場取引期間が一年以上の長期金融市場があります。

前者の短期金融市場にはインターバンク市場と呼ばれる金融機関のみが参加できる市場があり、コール市場と手形市場と呼ばれる市場があります。

今回のテーマでは主に短期金融市場・インターバンク市場・コール市場がメインのお話になります。

日銀の金融政策

日銀の金融政策一覧

日銀がおこなう主な金融政策を図にまとめてみました。

景気が上昇しているときは、住宅の購入や車の購入など消費意欲が高まりますよね。企業も借入を増やし工場などに設備投資をし生産量を拡大する必要があり、資金需要が高まりますよね。

資金需要が加熱気味になると物価の価値が上がりお金の価値が相対的に下がるので、資金需要を抑える必要が出てくるわけです。これをインフレと言います。

そこで日銀が物価の安定とお金の価値を維持させるために金融引き締めという金融政策を行うわけです。

おもな金融引き締めは、政策金利の引き上げ、売りオペ、日銀当座預金残高引き上げなどを行い金利を上げていきます

金利が上がると住宅ローン金利や企業の借入金利、預貯金の金利が上昇するので消費や設備投資にお金を使うよりも、預金金利が上昇するので銀行に預けたりする人が増えますよね。

資金需要を抑制することを金融引き締めといいます

反対に景気後退、すなわち不景気の状態ではどうでしょうか。

『お金は天下のまわりもの』とは言いますが、経済をまわすには人々にお金を使ってもらわなくてはいけません。

旅行へ行ったり、住宅や車を購入したりと企業にお金が入るように消費意欲を活性化させるために、日銀は金利を引き下げる方向へ誘導します。

金利が下がると住宅ローンや企業の借入金利、預貯金の金利が下がるので、お金を貯蓄にまわすよりもモノやサービスを購入したりとお金を使うようになりますよね。

企業も人々の消費活動に応えるため、銀行から借入を行い設備投資をし生産活動を活発化させたりして経済がまわしていくわけです。

このように企業や人々にお金を使ってもらう方向に誘導することを金融緩和といいます。

※一般的な解釈ではこれで問題ありませんが、日本の企業はバブル崩壊後から積極的にお金を貯めこむようになりました。金融緩和を行っても積極的に借入をする企業が少なくなっており日銀がおこなう金融緩和の考え方が成り立たなくなってきております

それでは日銀はどのうようにして金利を操作するのか一つずつ解説して、バラバラになっている日銀の金融政策、全体のお金の流れでみるとすべて繋がるようになっています。

短期金融市場(コール市場)

金融市場全体図のなかに取引期間一年未満の短期金融市場がありましたよね。そして金融機関のみが参加できるインターバンク市場があり、その中にコール市場という金融機関同士がお金を融通し合う市場があります。

短期金融市場概要

民間の金融機関などは個人や法人から預かった預金を、別の個人や法人に貸出を行ってその貸し出したときの金利で収入を得ています。

特にメガバンクなどは常に巨額の貸し付けを民間企業などに行っているので、貸出資金が不足したりすることもあります。

資金が不足している金融機関へ、資金に余裕のある金融機関が貸出する場をコール市場といいます。

無担保コール翌日金利といった言葉もありますが、この時の金融機関同士でおこなう貸し借りの金利のことを無担保コールレートといい、日銀がおこなう政策金利の操作とは、買いオペや売りオペを通じてこの金利を誘導することです。

金融機関で直接貸し借りをすることもあれば、金融機関どうしの仲介を行う短資会社を通じて貸し借りをしたりする場合もあります。

※このコール市場での金利と、個人や民間などに貸し出す金利差が金融機関の収益になります

日本では無担保コールレートと言いますが、アメリカでは政策金利のことをフェデラルファンドレート(FFレート)と言います。

公開市場操作(買い・売り・指値オペ)

日銀はコール市場での金利を誘導するために、公開市場操作という金利操作をおこないます。

公開市場操作

売りオペ

売りオペとは、日銀が保有している国債などの債券を民間の金融機関に売ってお金を回収します。そうすることで市場に出まわるお金の量が減るのでお金の価値が上がり金利が上昇することになります。

買いオペ

買いオペとは、民間の金融機関が保有している国債などの債券を日銀が買い、そのお金が民間の金融機関にいくことで、市場に出まわるお金の量が増えることでお金の価値が下がり金利が下落することになります。

指値オペ

指値オペとは、日銀が利回りを指定して10年債長期金利が指定した金利になるまで、無制限に債券を買うことです。

以上が公開市場操作の仕組みです。日銀はオペを通じて、市場にまわるお金の量をコントロールすることで金利と物価を安定させています。

預金準備率操作

預金準備率操作とは民間の金融機関が、日銀の当座預金に預けなければいけないお金の量をコントロールすることです。

預金準備率操作

景気上昇時は預金準備率の引き上げを行い、民間の金融機関は日銀の当座預金口座に多くのお金を預けなければいけないために、市場にでまわるお金の量が減るために金利が上昇します。

反対に景気下落時は預金準備率の引き下げを行って、民間の金融機関が預け入れなければいけないお金の量が減ることになり、市場にでまわるお金の量が増えるために金利が下落します。

このように日銀の当座預金の預け入れをコントロールすることでも金利が変動することになります。

量的緩和(マネタリーベース拡大)

2013年4月、日銀による金融政策決定会合で『量的・質的金融緩和』を導入すると決定しました。これは俗に言うアベノミクスという経済対策で消費者物価指数を前年比上昇率+2%を目指すという異次元緩和の最大目標でした。

先に述べたコール市場での金利、無担保コールレートを日銀が誘導操作していたのを、マネタリーベースに変更しました。

量的緩和

マネタリーベースとは日銀の当座預金残高と現金通貨、そして長期国債やETF(上場投資信託)といった金融資産の保有額のことを指します

このマネタリーベースの規模としては2012年度末がおよそ138兆円だったものを年々拡大させ、2022年4月の平均では約690兆円まで銀行券(紙幣)、国債やETFなどの金融資産が膨れ上がっています。

日銀はデフレ脱却に向けアベノミクス以降、積極的に紙幣を印刷し世の中にばら撒いていると言っても過言ではありません。

その後の2016年1月の日銀金融政策決定会合で『マイナス金利付き量的・質的緩和』の導入を決めました。

これは先程ありました民間の金融機関が預ける日銀の当座預金で、準備預金が一定額を超過した一部の預金にマイナス0.1%の金利を付けることです。

わかりやすく言うと、バブル崩壊後の日本は貸し出したお金の返済が焦げ付かないように、民間企業に貸し出すお金を渋りました。

大企業に比べ信用力の乏しい自営業者や零細企業などは、お金を借りたいのに銀行が貸してくれないという状態が続きました。

また借りる側も不景気の影響もあり、低金利誘導を行っても積極的に借入をして設備投資をして業務を拡大することにも消極的になりました。

滞ったお金の流れを動かすために、金融機関に対して日銀にお金を多く預けるよりも市場にお金をまわしてくださいというふうに、マイナス金利を導入、超過当座預金分に対し金融機関は利息が取られるようになりました。

長期金利推移

上の図は1989年から2021年までの金利推移のグラフです。2016年と2019年は10年金利が年平均でマイナスの年になりました。

マイナス金利導入により住宅ローンの引き下げなどの効果はありましたが、金利の低下により銀行の収益が悪化、預金金利の低下やATM手数料などの引き上げなどの弊害も生まれました。

長期金利操作(イールドカーブコントロール)

本来は短期金融市場での金利操作誘導が主でしたが、日銀による異次元緩和などで10年金利などの長期金利までも低下させました。

イールドカーブ

イールドカーブについてはこちらのブログに書いています(債券と金利の関係

まとめ

日銀の金利政策についてわかりやすく解説しましたが、理解できましたでしょうか。

日本は頑なに低金利政策を実行していますが、 海外へ目を向けるとコロナウィルスによる景気後退対策として低金利導入による金融緩和を行いました。

市場に出回るお金が増え、特に株式市場などは大いに盛り上がりました。

そして徐々に経済が回復し、今度は物価指数の上昇などでインフレの懸念が生まれ、利上げによる金融引き締めに舵を取り始めました。

金利の変動による株価や為替への関係性は次回のブログでまた詳しく解説しますのでここでは割愛します。

日銀が積極的に低金利を維持することで日本円の価値が相対的に下落し、円安基調となり輸出企業などは恩恵を受けましたし、株式市場も円安により海外投資マネーの流入などの効果はありました。

しかし、日銀がお金の供給を増やすのにもいずれ限界はくると思われます。

現在の日銀総裁である黒田総裁の後任が誰になるかは分かりませんが、現時点で日銀がおもに行っている金融政策は以上になります。

国債と金利の関係性や金利の計算などはこちらのブログに詳しく書いていますので、さらに知識を深めたい方はぜひ読んでみてください。

 

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